2014年1月13日月曜日

バナナ儀


特殊な文章を11本収録。
「仕事」「アロマ」「キングメーカー」「名美と村木」「モーニングスター」「マンモス」「水晶」「自由の女神」「戦時下」「新世紀」「秋日和」
料金(税込):880円(単品購入だと各110円)
購入はnoteで→バナナ儀

  抜粋作品:仕事

  隕石の落下地点では茸のようなものがにょきにょきと生えていた。そのうちのいくつかは零細企業であり、3人のOLが始めた食器屋なども含まれていた。彼女達の会社、「カウチポテトパパ」の食器デザインは主に、女子供を叩き斬る織田信長、切腹をする白虎隊、弓矢を浴びる天草四郎、レスリングにいそしむ村田晃嗣といった通好みのもので、一般に「グロかっこいい」と呼ばれ大変ヒットした。会社が大きくなるにつれて人員を必要とする為、雇用市場における鶴田真由と松下由樹と雛形あきこを事実上独占する恰好となり、同時に宮沢りえ、牧瀬里穂、観月ありさの3Mの需要が上昇した。宇野総理はこれはまさにぶっとびぃな事態であると声明を出し、国家総力をあげてガッチャマンのようなサングラスをかけた女を歌姫として世に送り出したのである。時代はまさに混乱の世紀末であり、新たなエリートが必要とされていた。そこで日本が沈没しそうな勢いで、菊川怜、高田万由子、六條華という選りすぐりの頭脳が集められ、上岡龍太郎をホスト役に活発な議論が行われた。結論としてやはり例の隕石を調べた方がいいのではということになり一同は長いお玉のような金属をガーガー言わせながら落下地点に赴いたのである。4次元怪獣ブルトンを彷彿とさせるごつごつとした塊は驚くことに言葉を発した。内容はフリテン君を朗読したものだった。プライドを傷つけられた菊川怜は開き直ることで東大ブランドからイヤミとなりかねない要素を蒸発させ、タレントキャラクターとして有効活用し、六條華はうろ覚えのぶつ切り単語でようやくグーグルで発見する程度の存在にとどまり、高田万由子は結婚によりいつのまにかハイソキャラへの1本化を成し遂げ東大を違和感なく自然消化してしまったのだ。これらの攻撃によりいとも簡単に隕石は爆発して散り散りになった。やがて数千年経ち人類が滅亡した世界で、海辺を破片の1つが転がっている。そこに孵化したばかりの平沢勝栄がひゅるひゅると近寄り、新たな文明が始まりつつあった。

(了)