2014年1月13日月曜日

縮蝋燭


特殊な文章を11本収録。
「パルムドール」「操作」「都」「天使」「巣鴨」「深夜」「ブーム」「塔」「貧乏」「ゴーゴー」「托鉢」。
料金(税込):880円(単品購入だと各110円)
購入はnoteで→縮蝋燭

  抜粋作品:パルムドール

   吾が舞へば、麗し女、酔ひにけり。攻殻機動隊の音楽に乗せて安達祐実の母親が全身整形を施されて行く。絵文字から象形文字への変遷は眉唾な気配が漂うが、「トチ狂う」の由来は安達祐実の母親に違いない。際限無く刺激が求められる現代、「まだ甘いんじゃないか?」。リポビタンDのCMにも得体の知れない出資者の思惑が反映される。北朝鮮に潜入する筋骨隆々、ソマリアへ降下する筋骨隆々、テレビでヤクザの批判をする筋骨隆々。シリーズは諸事情で短期間で変わり、その度に出演タレントのランクは下がって行った。「蒟蒻ゼリー販売停止にする前にやることあるんじゃないか」という経済学者の提言によりようやくシリーズは終了し、夏の1日はリポビタン弔として休日になった。カンヌ映画祭出品作品「リポビタン弔」の舞台は古い日本家屋である。カメラ付きの精密誘導弾が建物内部に放たれ、居間に座るよし夫(52歳・団体職員)を破壊するというものだ。概略から判るように異国情緒を売り物にしたあざとい作品である。しかしながらその斬新な映像感覚はたくさんのフォロワーを生み、物凄いスピードで風景が流れ標的の驚く顔のアップで終わる展開が映画界を席巻した。リメイクされた「ピアニストを撃て」も同様の終わり方をし、これのヒットを最後にハリウッドは低迷することになる。精密誘導弾の低価格化と小型化によりハリウッドの優位性が損なわれた結果であった。今や一般人が精密誘導弾で飼い犬を撃つ映像を動画サイトでアップロードするのだから時代の変化というのは怖ろしいものである。

(了)